交通事故示談

交通事故示談について示談成立の流れや、知らないと損するポイントを弁護士が分かりやすく解説

交通事故の被害にあった直後は怪我の治療を行いますが、最終的には治療費や慰謝料等を加害者から貰うために保険会社と示談交渉をすることになります。示談交渉は初めてで不安、何をして良いか分からないと思われるかもしれません。とくにご家族を交通事故で亡くされた場合は示談交渉どころではないお気持ちでしょう。

この記事では、交通事故に遭ってから示談成立までどのような流れで進むか、示談交渉において知らないと損するポイントを交通事故事件を扱う弁護士の立場から分かりやすく解説します。

 

1.       交通事故示談とは

 

1.-(1)  示談は話し合いでの解決

そもそも「示談」というと法律用語で難しく感じますが、示談とは要するに裁判をせずに話し合いで解決することです。交通事故の被害にあってどの程度の損害が生じたのか、どの程度加害者に責任があるのかを保険会社との間で話し合って決めるものです。

示談をする方法や手続きについてルールがあるわけではありません。どのような経緯を辿っても保険会社と交通事故の被害にあったあなたとの間で損害賠償の金額を合意できれば示談成立となります。

  • 示談=保険会社との話し合い
  • 示談の方法や手続のルールはない

1.-(2)  交通事故の被害回復の早道

もっとも、保険会社が示談を求めてくるタイミングや示談成立までの流れは実務上は画一的な流れがあります。そして、示談が成立をしないと交通事故の被害を回復するためには、あなたが交通事故の被害にあったことを理由とする損害賠償を請求する裁判を起こさなければなりません。

従って、交通事故の被害にあった側としては、被害回復のためには保険会社と示談交渉を行って適正妥当な内容で示談をすることが被害回復の早道といえます。

 

2.       交通事故発生から示談まで5つのSTEP

 

2.-(1)  STEP① 事故発生直後:人身事故の届出

事故が発生した直後は交通事故の被害にあったことで気が動転してしまいます。まずは落ち着いて被害状況や事故発生の経緯等を確認することが重要です。

交通事故示談においては、交通事故の責任がどの程度あるかが問題となります(過失相殺といいます。)。従って、事故現場や被害状況を写真に撮る等してあなたが交通事故の被害者であることを記録に残しておきましょう

 

また、交通事故の被害にあって最悪のパターンは当て逃げ、ひき逃げです。当て逃げ、ひき逃げで犯人が分からない事案は弁護士でも救済することは困難です。

加害者の車両ナンバーを控えたり、運転免許証を見せて貰うなどして可能な限り加害者の情報を取得するようにしましょう。

 

交通事故の被害にあった直後に加害者側から「示談をしよう」等と言われることがありますが、これは適切な交通事故示談ではありません。

加害者は警察を呼ばれることをおそれているだけであり、安易に示談に応じると後々に痛みがでてきり、怪我に気づいたような場合に損をしてしまいます。

従って、交通事故の被害にあったときは、必ず警察に通報して現場検証等を行って貰うようにしましょう。交通事故には人身事故と物損事故があり、警察の処理が変わってきます。事故直後は痛みを感じなかったとしても、後々に激しい痛みを感じることもあるので、痛みを感じたり怪我が少しでもあれば人身事故として警察に届けることがポイントです。

事故発生直後の注意点
  • 交通事故の被害者であることを証拠化する
  • 免許証等から加害者の情報を取得
  • その場で示談せずに必ず警察に通報する

 

2.-(2)  STEP② 治療期間:医師の指示に従って適切な治療を

事故の被害にあった場合はすぐに病院で医師の診断を受けるべきです。事故から日にちが経過してしまうと、示談交渉時に保険会社から交通事故が痛みの原因ではないと主張されます。

 

交通事故による怪我の治療は、医師の指示に従って完治か症状固定(これ以上は治療しても症状が良くならない状態)までは治療を続けるべきです。

保険会社が治療の打ち切りを言ってくる場合がありますが、治療の要否はあくまで医師の診断に従って判断してください。

治療終了を決めるのは医師の判断。保険会社が治療打ち切りを言ってきたときは弁護士に無料相談することも考えられる。

 

入院期間はもちろんのこと退院後の通院期間についても必要がある限り交通費や治療費は加害者に請求することができます。

とくに通院期間や通院回数は慰謝料額に影響します。痛みが残っており医師が治療が必要だと判断するのであれば怪我の程度や内容にもよりますが概ね週2~3回程度は通院し、納得がいくまで治療を続けましょう。

 

2.-(3)  STEP③ 症状固定:後遺障害等級の認定

症状固定とは、これ以上治療を続けても症状が軽減されない状態のことであり、医師が症状固定となったかを判断します。

医師から症状固定と診断された段階で、治療の必要性がない(治療を続けることができない)ことになるため、保険会社から治療費を受け取ることできなくなります。

 

症状固定の段階になっても痛みや症状が残っている場合は後遺障害等級の問題が生じます。症状固定段階でも回復できない後遺障害があるときは後遺障害1級から14級の認定がなされます。後遺障害等級が認定されると等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益等の補償を受けられるため非常に重要な手続きとなります。

 

交通事故の被害にあったとき、弁護士相談のベストタイミングは症状固定の直後です。症状固定になったら、一度は交通事故に強い弁護士に無料相談することをお勧めします。

 

2.-(4)  STEP④ 保険会社との示談交渉

示談交渉を開始するタイミングとしては、以上の通り治療が終了した段階から行うことが一般的です。治療が終了するまでは、どのような後遺障害が残るか分からないため、示談をしてしまうと後々に後遺障害が残ったときに補償がされないことになりかねません。

保険会社との示談交渉では、治療をするために生じた治療費・交通費、治療中に仕事を休んだ場合の休業補償、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料、また後遺障害が残った場合の逸失利益等の損害項目毎に話し合いを行います。

なお、保険会社との示談交渉は治療が終了した後からスタートするべきですが、その前に弁護士に相談をするべきです。交通事故の被害を受けた事案は、法律相談や電話相談を無料で承っており、基本的に成功報酬制や弁護士特約によって弁護士費用の負担は実質ありません。

従って、交通事故の直後から弁護士を探しておき、治療の打ち切りを保険会社から言われたときか又は症状固定段階では速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

 

2.-(5)  STEP⑤ 示談書の締結

交通事故の被害にあった場合の示談交渉は示談書の締結をもって終了します。示談書に署名・押印をしてしまうと、納得がいかないと主張することはできなくなりません。十分に納得するまで示談交渉を行うことが重要といえます。

一般的に、保険会社は相場よりも低い基準での示談金額を提示してきます。これに対し、弁護士に依頼した場合は裁判所が認める適正妥当な金額で示談を行います。保険会社の提案が本当に妥当か疑問に思った場合は迷わず弁護士に相談されることをおすすめします。

 

3.       知らなきゃ損する交通事故示談のポイント

 

3.-(1)  ポイント①:加害者の保険会社を安易に信じない

交通事故の被害にあったとき加害者の保険会社からもっともらしい説明を受けて安易に示談に応じてはいけません。

保険会社の担当者は紳士的な態度で、「一般的に交通事故では~です」や「当社の基準では~っています。」等と説明を行うため一見すると信頼できるように思えます。

しかし、保険会社は企業であり、保険会社の担当者はできるだけ示談金を低くするのが仕事です。加害者の保険会社から提示される示談金は相場よりも低額なことがほとんどです。

交通事故示談においては、保険会社の主張は一応聞きつつも、本当に正しいのか裏付けとなる情報を探したり信頼できる専門家に相談をして検証しましょう。

 

3.-(2)  ポイント②:交通事故示談の3つの基準を知る

一般的に交通事故示談については3つの基準があると言われます。3つの基準とは、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)であり、自賠責基準≒任意保険基準<<<弁護士基準(裁判基準)の順番で被害者に支払われる金額が大きくなります。

3つの基準:自賠責基準≒任意保険基準<<<弁護士基準(裁判基準)

 

自賠責基準は、自動車の運転者が法律上加入を義務付けられている自賠責保険によって最低限補償がなされる基準です。これに対し、任意保険基準は、保険会社から提示がなされる金額であり、明確な基準が公表されているものではなく、保険会社毎によっても異なります。しかし、任意保険基準は自賠責基準と同等か少し高額な程度に留まります。

 

最も高額なのが弁護士基準(裁判基準)

これに対し、弁護士基準(裁判基準)は、裁判所が適正な金額であると判断してきた事例を蓄積したものであり、「損害賠償の相場」や「適正な金額」と言われるものです。弁護士が示談交渉を行う場合は裁判を起こすことを見越して弁護士基準(裁判基準)で交渉をします。

交通事故の被害にあったとき自分自身で示談交渉をしても、保険会社としては裁判を起こされる可能性は低いと判断するため弁護士基準(裁判基準)の提案をすることはありません。従って、弁護士基準(裁判基準)で交渉すれば、原則として保険会社の提示金額よりも高額になります。

保険会社から示談金の提示があったときは、弁護士基準(裁判基準)であればどの程度の損害賠償額を得られるかを確認してから示談に応じるか否かを判断するべきです。

弁護士基準(裁判基準)の示談金額を確認

保険会社から示談金提示があったときは弁護士基準(裁判基準)による適正な示談金額を確認することが重要

 

3.-(3)  ポイント③:治療は医師の指示に従ってきちんと行う

保険会社と示談交渉をしているときに、治療中であるにも関わらず治療を打ち切ると言われることがあります。ひどい担当者になると「治療を続けるなら示談金を減らす」等と脅してくることも。

しかし、治療を続けるべきか否かは医師が判断することであり、保険会社から治療打ち切りと言われても医師の指示に従ってきちんと治療をするべきです。きちんと治療をしないと完治しないのみならず、通院期間が短くなるため通院慰謝料が低くなったり、後遺障害が認定され難くなる等のデメリットがあります。

保険会社が言う治療打ち切りと主張しても、必要な治療に要した治療費は保険会社に請求することができます。治療の要否は、保険会社ではなく、あくまで医師の指示に従いましょう。

 

3.-(4)  ポイント④:後遺障害等級は被害者主導で申請する

交通事故に被害にあって治療が終了しても、症状が残ってしまう場合は後遺障害等級の認定を受けることになります。後遺障害等級の認定には、保険会社が行う事前認定と被害者側が主導する被害者請求があります。

交通事故の被害にあったときは後遺障害等級は超重要です。後遺障害等級を有利に進めるためには被害者請求で行うことをお勧めします。

 

少なくとも220万円の差が生じる!(年収500万円の場合)

後遺障害等級の認定を受けられるか、またどの等級の認定を受けるかは示談交渉において非常に重要です。一番軽い14級であっても後遺障害等級の認定を受けるか否かで、後遺障害慰謝料110万円+逸失利益108万円(年収500万円の場合)で合計約220万円程度も金額が異なります。

 

後遺障害等級の認定は非常に重要であるため被害者側で主導して行うことがポイントです。

保険会社に任せると、診断書の記載が十分でなかったり、書類に不備があって適切な後遺障害等級の認定を受けられない可能性があります。

異議申立ての手続きはありますが、手間が増大しますし、最初から相談して貰えれば後遺障害等級の認定を受けられたのに…という事案も少なくありません。後遺障害等級の認定は、保険会社に任せるのではなく、弁護士に相談・依頼する等して主導する必要があります。

 

3.-(5)  ポイント⑤:金額の妥当性だけでなく、損害項目を確認する

交通事故示談では慰謝料の金額が妥当なのかを最も気にされるご相談者様もいます。治療費は病院に支払うもので金額が決まっているのに対し、前述の通り任意保険基準や裁判基準等によって大きく異なる「慰謝料の金額はいくらか?」に注目してしまいがちです。

しかし、保険会社の担当者は、請求できる損害項目をあえて外したり、場合によっては損害項目の詳細を隠して示談金を提示することがあります。示談金=慰謝料と思っておられる方も多いですが、示談金は慰謝料だけでなく、交通費・治療費・休業損害・逸失利益その他の損害項目を積算して計算します。

例えば、主婦で働いていないので休業損害は貰えない等と思い込んでおられる方もいますが(場合によっては保険会社の担当者から説明されて)、事案によっては実は休業損害が貰えることもあります。このように、損害項目ごとの金額だけではなく、そもそも請求できるはずの損害項目を見落としてないかをきちんと確認することもポイントです。

 

4.       まとめ

 

交通事故被害にあったときの交通事故示談の流れやポイントを解説しました。交通事故の場合は任意保険基準と裁判基準(弁護士基準)では支払金額に大きな差がありますし、損害項目に抜け漏れがないか等のチェックが必要です。

 

私たちは、法律相談や見積りは無料で対応しており、適正な損害金額の算定を無料でお伝えしております。保険会社からの提案内容に応じて示談を成立させる前に、適切な示談内容かについて是非ご相談ください。