交通事故の被害にあったとき弁護士に依頼するときに是非活用したいのが弁護士費用特約です。
弁護士費用特約とは、自動車保険や火災保険に付帯した特約であり、交通事故の被害者が弁護士に依頼したときの弁護士費用を保険会社が負担するものです。
弁護士費用特約は、弁護士特約、弁護士費用担保特約、弁護士費用補償特約等とも言われますが基本的に同じものです。
弁護士費用特約があれば弁護士費用は原則負担なしとなるため心強い味方です。しかし、弁護士費用特約があるか、どのようなときに活用するかは少し複雑です。
この記事では、交通事故被害者が損をしないように弁護士費用特約を活用するポイントや、よくある質問を解説します。
なお、弁護士費用特約は保険会社によって異なります。細かい約款があるため、もし利用に当たって分からない点があれば弁護士に無料相談することをおすすめします。
1. 弁護士費用特約とは
1.-(1) 交通事故被害者のための保険会社の特約
弁護士費用特約とは、交通事故被害にあった場合に示談交渉・裁判提起等の弁護士費用を保険会社が負担する特約です。
交通事故の被害者は、過失がなければ自己が加入している保険会社が賠償義務を負わないため、示談交渉を保険会社に依頼することが出来ません。
しかし、弁護士費用特約を付しておけば、交通事故の被害者が自己が加入している保険会社の費用負担で示談交渉を依頼できるのです。
1.-(2) 弁護士費用特約は活用されていない
弁護士費用特約はある調査によれば約70%の人が対象だと言われています。
しかし、現実に弁護士費用特約を利用しているのは約0.4%程度に留まるとも他方で言われています。
弁護士費用特約を利用できるのに使わなければ明確に損です。しかし、以下のような理由から弁護士費用特約は活用されていないようです。
- そもそも交通事故の被害者が弁護士費用特約を知らない
- 弁護士費用特約が適用されるケースを知らない
- 家族・親族の弁護士費用特約が使えることを知らない
弁護士費用特約を賢く利用して、弁護士費用を払わずに弁護士に依頼して、示談金増額を求めましょう。
2. 弁護士費用特約で負担される弁護士費用
2.-(1) 弁護士費用特約の上限について
弁護士費用特約により保険会社が負担する弁護士費用は相談料と弁護士報酬です。但し、保険会社の多くは弁護士費用について上限を設定しています。
- 相談料:上限10万円
- 弁護士報酬:上限300万円
2.-(2) 原則として交通事故被害者の負担なし
もっとも、ほとんどの交通事故において弁護士費用はこの上限金額を超えることはありません。
例えば、交通事故の被害で最も多いのが「むちうち症」です。むちうち症で最も重いケースだと慰謝料・逸失利益等で約500万円程度を請求できます。
(参考)【弁護士解説】交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場【30秒で分かる】
このように高額な損害賠償を獲得できたようなケースの弁護士費用でも、十分に弁護士費用特約の範囲内でカバーされます。
従って、弁護士費用特約により、交通事故被害者は原則として弁護士費用の負担がないと考えて差し支えありません。
2.-(3) 弁護士費用特約の上限を超えるようなケース
残念ながら重度の後遺症が残る、死亡してしまったような事故のケースでは弁護士費用特約の上限が超えるケースもあります。
しかし、このような場合でも、当事務所であれば弁護士費用を個別具体的に対応させていただきます。具体的には、原則として弁護士費用を成功報酬とすることにより、加害者側から多額の損害賠償金額を獲得できたときのみ弁護士費用をお支払いいただきます。
弁護士の介入で損害賠償金額は増額できるため、実質的に弁護士に依頼しても損をしないようになっています。
交通事故被害者の法律相談は0円!完全無料です。弁護士直通の無料相談や電話会議システムを利用したWEB面談も実施。法律相談は24時間365日受け付けておりますので、今すぐお問合せください。
3. 交通事故直後から弁護士費用特約を活用する
また、弁護士費用特約は、訴訟になった場合にしか利用できないと誤解されている方がいます。
しかし、事故直後の相談から弁護士費用特約を利用することはできますし、効果的な弁護士に対する依頼方法は、事故直後の相談、示談交渉から弁護士に任せることをおすすめします。
早期に相談・依頼をしても弁護士費用特約で弁護士費用の負担がないため、ご自身の負担や不安を少なくするためにも、弁護士費用特約があるのであれば、とくに早期に弁護士に相談した方が良いでしょう。
遅くとも症状固定をしたタイミングでは必ず一度は弁護士に相談することをおすすめします。
(参考)交通事故の被害者が弁護士に相談するタイミングは?
4. もっと弁護士費用特約を活用するために
本当は弁護士費用特約が使えるケースは多いのですが、現実には弁護士費用特約は約0.4%程度しか活用されていないと言われています。
弁護士費用特約があるのに使わないと明確に損をすることになります。弁護士費用特約をもっと活用するために以下の点をチェックしてください。
4.-(1) 家族・親族の弁護士費用特約も使える
見落としがちですが家族・親族の弁護士費用特約を使えるケースも少なくありません。例えば、自分では運転をしない一人暮らしの学生で歩行中に交通事故の被害にあったとき等でも弁護士費用特約を使えるケースがあります。
具体的には以下の条件で家族・親族の弁護士費用特約を利用できます。
同居の親族 | 6親等以内の血族・3親等以内に姻族
(両親、兄弟・祖父母、従兄弟等) |
別居の家族 | 両親(但し、本人が未婚のとき) |
ざっくり言えば、
- 誰かと同居していれば同居してる全員の保険をチェックして弁護士費用特約がないかを確認する。
- 一人暮らしのケースであれば、ご両親の保険に弁護士費用特約がないかを確認する
ことをおすすめします。
4.-(2) 自動車保険以外もチェックする
弁護士費用特約は自動車保険だけではありません。例えば、医療保険、火災保険、個人賠償責任保険等に付いていることもあるのでチェックしてください。
医療保険 | 病気やケガの病院費用を負担するタイプの保険で、日常事故に適用される弁護士費用特約があるケース。 |
火災保険 | 賃貸・持ち家を問わず、火災保険に日常事故に適用される弁護士費用特約があるケース。 |
個人賠償責任保険 | 自宅の水漏れ、スキー等のスポーツ、自転車事故等に備える保険で、弁護士費用特約があるケース。 |
5. 弁護士費用特約についてよくある質問
弁護士費用特約は、相談料・弁護士報酬を保険会社が負担するものです。交通事故直後の法律相談や、保険会社との示談交渉でも弁護士費用特約は使えます。
保険会社に対して弁護士費用特約を使うことを伝えると、保険会社から弁護士を紹介されることもあるようです。そのため、弁護士費用特約を使うと保険会社が指定した弁護士に依頼しなければならないと思っておられる方もいます。
しかし、弁護士費用特約を使うと保険会社の弁護士に依頼することになるわけではありません。元々ご相談・ご依頼されていた弁護士に、弁護士費用特約を使いたい旨を伝えれば処理して貰えるのでご安心ください。
弁護士費用特約は、交通事故の被害者が無過失のとき、過失があるときのいずれでも活用できます。
残念ながら交通事故の被害者が亡くなられたケースでは、ご遺族が弁護士費用特約を使うことができます。
弁護士費用特約を使うと、保険料が上がる/保険等級が下がると言ったデメリットがあるのではないかと心配される方もいます。しかし、弁護士費用特約を使っても、保険料が上がる/保険等級が下がることはありません。弁護士費用特約を使うデメリットはとくにないので是非ご活用ください。
6. 弁護士費用特約をお得に活用しよう!
この記事では弁護士費用特約の活用方法やよくある質問を解説しました。弁護士費用特約があれば、弁護士費用は原則負担なしになるので活用しないと損だと言えます。
もっとも弁護士費用特約を活用できるかは少し複雑な判断が必要です。そもそも弁護士に依頼するべきか、弁護士費用特約を使えるかについて不安や悩みがあれば弁護士の無料相談をご利用ください。