むちうちの交通事故被害

【弁護士解説】交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場【30秒で分かる】

交通事故に遭いむちうちになってしまった場合、病院での治療期間が終わっても怪我をした部位の痛みが取れないなどの後遺症が残ることがあります。

このように、交通事故でむちうちになり治療が必要になり、後遺障害が残ったときは慰謝料を請求できます。
この記事では、交通事故の被害にあってむちうちになったときの慰謝料相場について解説します。

結論から言うと、交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場は以下の通りです(※あくまで丸めた数字であり、正確な慰謝料相場は本文をお読みください。)。

通院期間3か月 通院期間6か月
入通院慰謝料 約15万円~50万円 約30万円~約90万円
後遺障害等級14級 後遺障害等級12級
後遺障害慰謝料 約30万円~110万円 約90万円~300万円

交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場はざっくりと以上ですが、入通院慰謝料とは何か、後遺障害等級とは何か、なぜ慰謝料相場にこれだけ幅があるのか疑問に思われるでしょう。

この記事では、弁護士が交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場を詳しく解説します。なお、あなたの事案でむちうちの慰謝料がどの程度かは弁護士にご相談ください。交通事故被害者の相談は無料ですので、あまり悩まずお気軽にお問合せください。

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1.     交通事故でむちうちになったときの慰謝料の種類

交通事故で請求できる慰謝料には、大きく分けて「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つがあります。

このうち、交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場が問題になるのは入通院慰謝料と後遺障害慰謝料です。

まず入通院慰謝料と後遺障害慰謝料がどんなときに請求できるかを解説し、それぞれの慰謝料相場を説明します。

 

1.-(1)  むちうちの入通院慰謝料を請求できるケース

入通院慰謝料を請求できるのはむちうちになって治療が必要になったケースです。

入通院慰謝料は、交通事故の被害者がむちうちで病院に行かざるを得ない精神的苦痛を賠償するものです。むちうちで痛い思いをしながら、時間をかけてわざわざ病院に治療に通うことに怒りを覚える方も少なくありません。

入通院慰謝料は、交通事故の被害者がむちうちで通院を余儀なくされたときに請求できるものです。

 

1.-(2)  むちうちで後遺障害慰謝料を請求できるケース

これに対し交通事故の被害でむちうちになったときに後遺障害慰謝料を請求するためには少々複雑な手続が必要です。

後遺障害慰謝料とは、交通事故の被害者が怪我を負って治療を続けたものの後遺症が残ったことの精神的苦痛です。しかし、後遺症さえあれば慰謝料が認められるというわけではありません。被害者の後遺症が「後遺障害」であると認められる必要があるのです。

 

後遺症のうち一定の基準を満たしたものが後遺障害として認定されます。

損傷が身体の目に見える場所に出にくいむちうちは、医師の所見や画像診断などの客観的な資料により証明する必要があります。交通事故で「むちうちかな?」と思ったら、とにかくまずは病院に行って診断してもらいましょう。

 

1.-(3)  慰謝料を算定する3つの基準とは

また、交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場はどの基準で算定するかによっても異なります。3つの基準とは、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)です。

一般的に、自賠責基準<任意保険基準<弁護士基準(裁判基準)の順番で慰謝料相場は高額になります。弁護士基準(裁判基準)は弁護士に依頼したときに適用されるものとです。詳しくは下記記事を参考にしてください。

(参考)交通事故を弁護士に依頼するメリットと3つの基準

 

2.     交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場①:入通院慰謝料

交通事故でむちうちになったときは、どの程度の日数の治療が必要だったかによって入通院慰謝料の相場は異なります。

具体的には、3つの基準毎に入通院慰謝料の計算方法が定められており、これが慰謝料相場になります。

 

なお、一般的にはむちうちの治療のためには3か月程度、最長でも6か月程度が治療期間とされます。治療期間のうち理想を言えば週3日以上は通院することをおすすめしています。

(参考)むちうちの通院は週3日以上が理想!弁護士が教える慰謝料増額の方法

 

2.-(1)  自賠責基準による入通院慰謝料の計算方法

まず自賠責基準ですが、これは被害者の損害を最低限保証するために定められたものなので、最も額が低い基準となります。

具体的には、「実際に治療のために通院した日数の2倍」または「通院期間」のうちの少ないほうに日額4,200円を掛けて算出します。

また自賠責基準には上限があり、治療費や交通費などの損害賠償と合わせて120万円が上限です。

 

2.-(2)  任意保険基準による入通院慰謝料の計算方法

任意保険基準は各保険会社が独自に定めている基準になります。

保険会社の内部基準なので、あくまで目安に過ぎませんが通院期間を基準に算定がされることが多いようです。例えば、通院3か月であれば約37万8000円程度、通院6か月であれば約64万2000円と言った基準が知られています。

 

2.-(3)  弁護士基準による入通院慰謝料の計算方法

最後に紹介するのが、弁護士基準(裁判基準)です。これは、通称「赤い本」と呼ばれる日弁連交通事故相談センターが出している書籍に記載されている基準です。

この基準は、過去の裁判例をベースに定められたものなので、慰謝料として最も適正かつ妥当な金額であるとともに最も高額な基準となります。

むちうちの入通院慰謝料については、弁護士基準(裁判基準)だと「実際に治療のために通院した日数の3倍」又は「通院期間」の少ない方を基準として算定されます。1週間に2~3回は治療に通っていることを前提とすると、通院期間がベースとなります。

この場合、弁護士基準(裁判)の慰謝料相場は、通院3か月であれば約53万円、通院6か月であれば約89万円となります。

交通事故弁護士
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2.-(4)  むちうちによる入通院慰謝料の相場まとめ

通院期間3か月

(実通院日数36日とする)

通院期間6か月

(実通院日数72日とする)

自賠責基準 約15万1200円 約30万2400円
任意保険基準 約37万8000円 約64万2000円
弁護士基準(裁判基準) 約53万円 約89万円

 

3.     交通事故でむちうちになったときの慰謝料相場②:後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料の相場については、後遺障害等級とは何かと後遺障害等級がどう認定されるかがポイントです。後遺障害等級が決まれば、3つの基準毎に後遺障害慰謝料の相場は一律で定められます。

 

3.-(1)  後遺障害慰謝料の相場を決める後遺障害等級とは

後遺障害はその程度によって等級が定められており、1級~14級まであります。数が少なくなるごとに障害の程度は重くなり、認められる慰謝料相場が高額になります。

後遺障害等級によって請求できる慰謝料の額が変わってくるため、どの等級が認められるかは被害者にとってとても重要です。

むちうちの場合は12級又は14級と認定される場合がほとんどです。

 

まず、後遺障害12級に認められる症状は、骨折、脱臼などの外部から分かる診断を受けているか、レントゲンやCTなどの画像診断で痛みの原因がはっきり確認できるかどうかの2つがポイントです。

 

次に外部所見がないケースでも後遺障害等級14級と認定されることもあります。

疼痛やしびれなどのむちうちの症状が一貫して続いており、軽快の可能性がないと判断されるときは以下のような事情があれば後遺障害14級に認定される可能性もあります

  • 交通事故の状況及び「被害者が医師に申告する症状」の程度が一致していること、
  • 交通事故直後から医療機関へ定期的に通院していること、
  • 交通事故直後から現在まで被害者の訴える症状が一貫して続いていること
  • .被害者の症状が重く、日常生活において慢性的に症状があらわれていると認められること

 

画像診断で痛みの原因がはっきりと示されない分、認定の条件が厳しくなっているのです。

むちうちの治療を続けても痛みが治まらない、患部が動かしにくいなどの症状があれば具体的に担当医に伝えるようにしましょう。

むちうちは骨折や脱臼などに比べると軽く見られてしまいがちです。痛みで日常生活に支障をきたしているのに正当な額の慰謝料が認められないのでは大きな損をしてしまいます。

適正な額の慰謝料を請求するためには、治療の段階で症状を明確にしておくことが重要です。

 

後遺障害慰謝料が認められるためには、はじめにきちんと通院し治療を受けることが大前提になります。逆に言うと後遺障害等級が認定されないケースもあります。適切な後遺障害慰謝料を得るためには交通事故に強い弁護士に早めに依頼するべきかもしれません。

 

3.-(2)  慰謝料相場を決定する後遺障害等級はどうやって決まるか

むちうちの後遺障害認定を受け慰謝料を請求するためには、担当医から症状固定(これ以上の回復・改善は見込めないこと)の診断を受け、後遺障害診断書を発行してもらいます。

そして、その診断書と関連資料を損害保険料率算出機構に提出しましょう。すると、損害保険料率算出機構が提出書類をもとに審査し、後遺障害の等級に該当するか否かの判断をします。後遺障害等級認定が下りれば、被害者は慰謝料請求できることになります。

 

後遺障害慰謝料はむちうちの後遺症が重いことを意味します。つまり、きちんと治療を受けても取れない痛みがあることが重要です。
従って、後遺障害慰謝料をできるだけ多くするという意味でも、症状固定まできちんと治療を続けましょう。

むちうちの治療期間は一般的に6か月程度と言われているため、通院6か月を過ぎると、保険会社が治療の打ち切りを催促してくる場合があります。保険会社から治療打ち切りを言われたときは、一度交通事故に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

後遺障害認定の申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。「事前認定」は、加害者の保険会社に手続きをすべて任せる方法なので、被害者側の手間があまりかかりません。

しかし、加害者側の保険会社に一任するよりも、被害者自身でむちうちの症状についての証拠を集めたほうが、後遺障害認定されやすい傾向にあります。

そこで、被害者が自分で手続きをすすめる被害者請求の方法で申請するほうが、被害者側のメリットになると一般に言われています。

もっとも、法律の素人である一般人が自分だけでさまざまな資料を集めるのは困難が伴います。まして、交通事故に遭った身体でいろいろと準備するために動くのは大変です。

そのような負担を減らす方法として、被害者請求については弁護士に相談する方法があります。

法律の専門家である弁護士ならば、被害者にとって最も適切な慰謝料額を得るためのサポートをしてくれます。また、弁護士に依頼することによって、最も慰謝料算出額の高い弁護士基準(裁判基準)での算出が可能となるため、一石二鳥です。
交通事故被害者は弁護士の法律相談は無料で行えます。少しでも悩んだらまずは弁護士に無料相談をしましょう。

3.-(3)  むちうちの後遺障害等級ごとの後遺障害慰謝料の相場

むちうちで後遺障害等級が認定されれば後遺障害慰謝料の相場は自動的に決まります。むちうちで後遺障害等級として認定される可能性があるのは12級又は14級です。

なお、後遺障害等級が認定されない場合もあり、その場合は後遺障害慰謝料が請求できませんのでご注意ください。

 

自賠責基準の後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級14級であれば32万円、後遺障害等級12級であれば93万円とされています。

任意保険基準の後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級14級であれば約40万円、後遺障害等級12級であれば約100万円とされています。

弁護士基準(裁判基準)の後遺障害慰謝料の相場は、後遺障害等級14級であれば110万円、後遺障害等級12級であれば290万円とされています。

 

まとめると以下の表のとおりとなります。

後遺障害等級14級 後遺障害等級12級
自賠責基準 32万円 93万円
任意保険基準 約40万円 約100万円
弁護士基準(裁判基準) 約110万円 約290万円

 

このように、弁護士基準(裁判基準)であれば自賠責基準・任意保険基準に比べて慰謝料相場は大きくアップします。

もっとも、弁護士基準(裁判基準)を適用されるためには、弁護士を通じて慰謝料を請求するか又は裁判を起こす必要があります。保険会社から提示された慰謝料が、弁護士基準(裁判基準)の慰謝料相場に比べて低額であるため納得できないときは交通事故に強い弁護士に依頼を考えましょう。

 

4.     交通事故でむちうちになったときに請求できる金額

この記事では交通事故でむちうちになったときに請求できる慰謝料相場を説明しました。

しかし、交通事故の被害にあってむちうちになったときは慰謝料以外も請求できます。例えば、休業損害や逸失利益等が請求できるため、保険会社と示談する前にあなたが請求できる損害項目を弁護士に相談することをおすすめします。

例えば、逸失利益については年収500万円として、後遺障害等級14級であれば約108万円を請求できます。大きな金額になるので、見落としがないように注意しましょう。

 

5.     交通事故でむちうちになったら慰謝料相場をきちんと確認する

適正な慰謝料を受けるにあたり弁護士に相談すれば、むちうちの場合の通院頻度など、病院でどのように治療を受けるべきかのアドバイスがもらえます。

 

また、最も高い計算基準である弁護士基準(裁判基準)で慰謝料の額を算出できるので、弁護士費用がかかるとしてもまずマイナスにはなりません。

「むちうち程度ではそれほど慰謝料をもらえないかも」と諦める前に、弁護士に相談してみましょう。

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