むちうちの交通事故被害

5分で分かる!むちうちの後遺症や治療のポイント

交通事故によってむちうちになり後遺症が残ってしまった場合、認定を受けると等級に応じた賠償金を受けとることができます(後遺障害等級の認定)。

しかし、すべての後遺症が認定を受けられるとは限りません。本記事では、後遺症の種類と後遺症の治療法、認定条件などについて解説します。

交通事故弁護士
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1.     後遺症の自覚症状と他覚症状

 

1.-(1)  治療終了後の症状=後遺症

後遺症は、交通事故でむちうちになりその治療をしていたけれど改善する見込みがない症状を指します。

むちうちの治療を続けていると、どこかのタイミングで治療が終了することになります。しかし、その場合でも痛みやしびれが残ったりといったむちうちの症状が残ることがあります。

このように治療を行ったものの、身体的もしくは精神的な症状が残っている場合を後遺症といいます。

 

1.-(2)  むちうちの後遺障害等級

他方で、後遺症とよく似た言葉に「後遺障害」というものもあります。これは、後遺症によって労働能力が喪失した状態として認定を受けた場合です。むちうちの後遺症が後遺障害に認定されると、「後遺障害逸失利益」と「後遺障害慰謝料」の支払い対象となります。

 

後遺障害は、症状の重さに応じて1~14級の等級に分類されます。等級ごとに、症状の種類や部位によっても内容が分かれており、細かく分けると約140種類にもなるのです。

むちうちの場合は、多くのケースでは後遺障害等級14級に認定されるかが問題となり、ひどい交通事故の場合に後遺障害等級12級が問題になることがあります。

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1.-(3)  むちうちの自覚症状・他覚症状

後遺症の症状には、自覚症状と他覚症状の2種類があります。自覚症状は、痛みや吐き気など自覚できる症状です。関節の違和感や手足のしびれなど、人によってさまざまですが、そのすべては本人の感覚や主観に基づいています。そのため、客観的な証明ができないのが特徴です。

一方、他覚症状は客観的、医学的に捉えられる症状をいいます。例えば、骨折やむくみ、筋力や握力の低下などです。これらは、医師が検査することで、初めて知ることができます。

交通事故の被害にあってむちうちになったときは、他覚症状がなく自覚症状のみということが少なくありません。この点がむちうちで後遺障害等級を得ることの難しさに繋がります。

 

2.     むちうちの後遺症の種類と症状

後遺症の種類はいくつかあります。交通事故のご相談で特に多いのがむちうちです。むちうちは事故によって頸椎に衝撃が加わり、損傷したことが原因となります。
首や背中のコリ、首のしびれや痛み、腕の痛みなどがむちうちの主な症状ですが、人によっては、めまいや吐き気、耳鳴り、頭痛などが生じます。

このような症状が治療終了段階でも残るむちうちの後遺症となります。むちうちの後遺症の治療法は安静にして頸椎を動かさないようにすることが大切と言われることがあります。しかし、働き盛りの方は現実的に難しく、接骨院やマッサージ等で痛みを和らげておられることが多いようです。

脳脊髄液減少症とは

また、交通事故の後遺症として最近注目されているのが脳脊髄液減少症です。脳や骨髄を包む硬膜が損傷を受け、内側の髄液が漏れてしまう状態です。

脳脊髄液減少症になると立ち上がったときに、めまいや頭痛といった症状が見られます。
交通事故から時間が経過しても、これらの症状が治らない場合は、病院を受診してみるとよいでしょう。

高次脳機能障害とは

また、交通事故によって脳が損傷を受けると、高次脳機能障害になる場合もあります。脳の認知機能に障害が生じるため、思考力や記憶力、言語機能などの能力が低下したり、精神異常が生じたりします。場合によっては、日常生活に介護が必要となるため注意が必要です。おかしいと思った場合は、脳神経外科ですぐに検査を受けましょう。

 

3.     むちうちで後遺障害等級が認定される要件

 

3.-(1)  むちうちの他覚症状と診断方法

交通事故でむちうちになったとき、後遺障害等級が認定されやすいのは他覚症状によって客観的に後遺症を証明できる場合です。特に重要視されるのが、MRIやレントゲンなどの画像診断結果です。

 

では、画像診断ができなければ、後遺障害等級の認定請求ができないのかというと、必ずしもそうとは限りません。他覚症状が画像診断で発見できなかった場合は、その検査方法を再確認しましょう。

症状を発見するのに適していない方法だった可能性があります。そのため、医師と相談し、別の検査方法を検討するとよいでしょう。また、画像以外でも他覚症状を証明することができます。例えば、臨床検査や神経学的な検査、理学的な検査などがあるようです。

 

後遺障害等級12級と14級との違いは他覚症状の有無であると言えます。例えば、画像診断で神経圧迫の可能性が疑われ、かつ圧迫されている神経による知覚障害が確認できる場合は他覚症状を証明できる可能性が高いです。この場合、後遺障害等級12級が認められやすいと言えるでしょう。

 

3.-(2)  自覚症状のみのむちうち症は後遺障害等級14級を狙う

後遺障害の中でも、後遺障害等級14級の場合は他覚症状がなくても認定されることがあります。なぜなら、後遺障害等級14級の要件は神経症状が残ることですが、自覚症状のみのむちうち症の場合でもこれに該当するからです。

 

むちうち症は自覚症状のみであることも少なくないため、このような場合には後遺障害等級14級を狙うことになります。

むちうちによる神経症状は画像診断によって見えない部分です。そのため、医師の後遺障害診断書の結果、事故後の治療状況や症状の経過から後遺障害認定等級機関が判断します。

むちうち症は後遺障害等級が重要!

後遺障害等級の有無で交通事故の損害賠償額は大きく異なります。とくに、むちうち症のときは弁護士によって大きく損害賠償額が変わります。早めに交通事故に強い弁護士に無料相談することをおすすめします。

4.     後遺障害認定の手続きはどうすればいいの?

後遺障害の認定を受けるには、2通りのやり方があります。

 

4.-(1)  事前認定による場合

1つ目は「事前認定」で、加害者側の任意保険会社が行うのが特徴です。被害者は、後遺障害診断書を準備して加害者側の保険会社に送付します。そのため、手続きの手間がかかりません。

しかし、被害者側にとって有利な資料を提出するようコントロールすることがむずかしいというデメリットがあります。従って、後遺障害の認定を受けられるかどうかはっきりしない場合には、事前認定を避けたほうがよいといえるでしょう。

 

事前認定を利用すると、認定の結果がわかるのは申請から2~4か月後が目安です。認定が下りても、すぐに保険金が支払われるわけではありません。示談が成立したタイミングで、支払われます。

 

4.-(2)  被害者請求による場合

2つ目は「被害者請求」です。被害者自身が加害者側の自賠責保険に申請します。加害者側の自賠責保険は警察から取り寄せる交通事故証明書に記載されています。

そのため、被害者にとって有利な内容の資料を提出したり、自賠責保険の調査事務所に自分の主張を自ら行ったりすることもできるのです。

 

被害者請求の場は必要な書類がたくさんあります。後遺障害診断書はもちろん、保険金請求書や交通事故証明書、診断書、事故発生状況報告書などです。さらに、休業損害証明書や通院交通証明書など、請求する内容によって必要な書類が追加されます。

 

書類は最終的に自賠責調査事務所に送られて調査が始まります。どの等級に該当するのかをはじめ、被害者の症状や交通事故の状況など、あらゆる内容を調査して結果が通達されるのです。結果が伝えられると、すぐに保険金の支払いが行われます。

被害者請求の場合は、事前認定とは異なり、後遺障害等級の認定によって自賠責保険から一定の支払いを受けられるため示談成立を待つ必要はありません。この場合、自賠責基準と弁護士基準(裁判基準)の差額については、加害者側の任意保険会社に対して別途請求を行うことになります。

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5.     むちうちの後遺症が後遺障害認定を受けるために

 

5.-(1)  交通事故後になるべく早くむちうちの受診

むちうちは、交通事故から時間が経過して症状が出てくる場合があります。一般的には交通事故直後から痛みが生じると言われていますが、交通事故直後は興奮しており、外傷から分からないむちうちの痛みに気付かないことがあるのです。

 

そのため、病院の受診が遅れてしまって、交通事故とは関連性のないむちうちだと診断される可能性があるのです。その結果、後遺障害認定が受けられなくなるかもしれません。症状に気付いたら、なるべく早く病院を受診し、交通事故と関連のあるむちうちだという診断をもらいましょう。

 

その際、必要な検査はなるべく受けておくと安心です。整骨院に通って治療したいという人もいるかもしれませんが、整骨院では診断書を書いてもらうことができません。そのため、まずは整形外科を受診する必要があります。

 

5.-(2)  むちうち治療の通院期間・通院頻度

後遺障害認定を受けるためには、通院期間も重要です。治療期間が短いと、症状が軽いと判断されかねません。むちうちの場合は概ね6か月の通院期間が目安となります。

 

通院する場合は、単にいつからいつまで通院したかだけではなく通院日数(通院頻度)にも注意しましょう。

後遺障害等級が認定されるほど症状が重いむち打ちになった方は概ね3日に1回程度のペースで通院しておられることが多いようです。

 

5.-(3)  被害者請求による後遺障害等級認定

また、申請する際には被害者請求を選択するのが無難です。手間はかかりますが、提出書類を自身で確認して内容を精査できるため、安心です。

自分で手続きを進めるのに不安がある場合は、なるべく早く弁護士に相談しましょう。できれば、交通事故に強い弁護士を探すことをおすすめします。

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6.     まとめ

自分で手続きを進め、示談が上手くいかなかったり認定が下りなかったりして後悔しないためにも、弁護士に相談すると安心です。弁護士に相談するときは、むちうちの治療が終了した直後が良いでしょう。

また、後遺障害の認定手続きだけでなく、保険会社から治療費の打ち切りを迫られたり、慰謝料の提示額が適正か判断してほしかったりといった場合にも活用できます。必要な書類も準備してくれるため、治療に専念できるというメリットもあるのです。1人で悩んでいるのであれば、まずは相談してみましょう。

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