後遺障害慰謝料

むちうちが後遺障害等級に認定されるポイント 11項目を弁護士が解説

追突事故などの被害に遭うと、むちうちになってしまうことが多くみられます。むちうちは、交通事故の被害で相談を受けることが最も多いものです(交通事故の被害者側で法律相談を受けるうち7割から8割ぐらいの体感です。)。

むちうちになると治療が終了した後も神経症状が残ることがあります。このような後遺症が残ってしまった場合には後遺障害として認定される場合があります。

 

後遺障害等級が認定されると、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が貰えるため示談金額がアップするなどのメリットがあります。ただ、後遺障害等級について詳しく知っている人は少ないようです。そこで、交通事故の被害ににあってむちうちになったときの後遺障害の等級について、認定の基準なども含めて詳しく説明します。

 

1.     むちうちの後遺症とは

 

1.-(1)  むちうちの治療終了後も残る症状

 

交通事故の被害に遭ってむちうちになると、治療を続けても完治しないことがあります。将来的にも回復が見込めないような症状が残った場合には後遺症として診断される場合があります。

 

むちうちの後遺症は以下のように色々な形で現れることがあります。

  • 首や肩に痛みが残るなど
  • 頭痛・後頭部が痛む
  • めまい、耳鳴りがする
  • 身体の一部にしびれが残る

 

1.-(2)  後遺症と後遺障害の違い

 

交通事故の被害で多いむちうちでも後遺症が残ることがあるでしょう。そんなときには後遺障害の認定手続きを受けます。

実は単に後遺症が残っているだけでは後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を受け取ることはできません。

 

後遺障害に認定される手続を経て初めて将来的な労働能力を損失したと判断され、損害賠償が多く受け取れるからです。

 

一般的に、交通事故で被害に遭うと加害者側の保険金として損害賠償が支払われます。保険金の中にけがの治療費も含まれていますが、治療費が支払われるのはケガが完治した時点までです。

 

もし、どれだけ治療を続けても症状改善の見込みがない場合を症状固定と言います。この場合、保険会社は治療費の支払いをストップし、治療終了後も残った後遺障害に対して後遺障害慰謝料や逸失利益を賠償金として支払います。

しかしながら、後遺障害の認定は主治医が決めるものではありません。自賠責や裁判所が判断することになります。

 

2.     交通事故の被害でむちうちになったときの後遺障害等級について

 

2.-(1)  むちうちの場合は後遺障害等級12級と14級

 

交通事故で後遺障害の等級に認定されるには、神経症状が残ると後遺障害等級の認定基準に該当する必要があります。そして、むちうちには後遺障害等級12級と後遺障害等級14級があります。

どちらの方がより重いかと言うと後遺障害等級12級です。

後遺障害等級 要件
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

 

2.-(2)  神経症状とは

 

神経症状というのは、神経の圧迫によって痛みやしびれが生じることであり、麻痺なども神経症状のひとつです。交通事故の被害で起こりやすい神経症状にむちうちがあります(むちうち以外にも骨折・打撲等で痛みが残る場合は神経症状に該当する可能性もあります。)。

 

むちうちは目に見える症状ではないことから、痛みを感じていても症状を客観的に証明するのは難しいケースが少なくありません。このように第三者である医師が症状の原因を確認できないことを「他覚症状がない」と言います。

 

しかし、他覚症状がないときでも、交通事故が原因でむちうちになり、頭痛や吐き気、めまいなどが生じる場合には、後遺障害等級に認定されることもあるのです。

例えば、私たちの解決事例でも、交通事故から長期間経過してもめまいが続くことを理由として後遺障害等級の認定を受けられたものがあります。

 

2.-(3)  しびれや痛みの検査方法

 

神経症状は目には見えませんが自覚症状を伴いますので、どのような症状があるのかを医師に正確に伝えましょう。

 

しびれの症状は筋電図や神経伝導検査などの電気生理学的検査によって客観的に計ることも可能と言われています。この他にもスパーリングテストやジャクソンテストなどもあります。

「痛み」の症状を測ることは難しいですが、神経や痛みに関する専門的な治療を受けると、痛みの症状と経過観察から医学的な検査結果を示すこともできます。

 

また、骨折によって神経が損傷した場合にも神経症状が生じたと判断される場合があるでしょう。折れた骨が不完全にくっついた場合には疼痛などの神経症状が残ることもあります。

 

3.     むちうちが後遺障害等級14級9号に認定されるには

 

むちうちは後遺障害等級14級9号に認定されるケースが多くみられます。むちうちの後遺症の原因がレントゲンやMRIで確認できないとき(画像所見がないとき)、後遺障害等級14級9号に該当するかが問題となります。

 

後遺障害等級14級9号は、むちうちの後遺症が画像所見などから証明できないときでも、様々な事情から後遺症として神経症状が残っていることが説明・推定できる場合です。それでは、どのような事情から神経症状が残っているかが判断されるのでしょうか。

 

3.-(1)  交通事故直後から継続して通院を行っていること

 

交通事故の被害にあってむちうちになり、治療が終了した後も後遺症が残っていると言えるためには交通事故直後から継続して通院していることが必要となります。継続して通院していることは後遺障害等級の認定にあたって最も重視される要素です。

 

  • 交通事故から2~3日以内の診断

むちうちに限らず交通事故の被害にあったときは交通事故直後の受診が重要です。交通事故から1週間以上経過すると、痛みの原因は交通事故ではないと判断されるリスクがあるからです。

 

  • むちうち治療のための継続的な通院

後遺症が残るほどの交通事故であれば、むちうちの症状も当然重いと考えられます。逆に言うと、むちうち症状の治療が終了するまで長期間を要したのであれば、それだけ重い交通事故の被害であり、神経症状が後遺症として残るのが相当だと判断されるわけです。

 

具体的にどの程度通院をしていたかの目安は明らかではありません。しかし、以下のような場合には後遺障害等級が認定されやすい傾向があると言えます。なお、整形外科と接骨院のどちらに通うかですが、少なくとも整形外科は月2回以上は通うことをおすすめします。

  • 通院期間が半年以上
  • 少なくとも3日に1度ぐらいのペースで通院
  • 長期間病院に通院しなかった期間がないこと

 

3.-(2)  症状の一貫性

 

むちうちの症状は、交通事故の直後が発生すると言われることがあるようです。交通事故直後から痛みが出ると言われることがあるのは、交通事故直後は興奮しているため痛みに気付かないだけなのです。

そのため、むちうちで後遺障害等級を受けるためには事故当初から症状が連続し、症状に一貫性があるかどうかもチェックポイントです。事故当初には腰が痛いといっていたのに、翌月には首が痛いといった症状を訴える場合には、後遺症かどうかの判断がつきません。

まれに痛みを感じるといったケースでも、症状が常に発生していませんので後遺症に非該当とされる可能性があります。後遺障害等級14級9号の該当性判断において、実務上は常時痛であることを要件としていると言われているためです。

 

4.     むちうちが後遺障害等級12級13号に認定されるには

 

交通事故の被害にあってむちうちの症状が後遺障害等級12級13号に認定されるのは、後遺障害等級14級9号に比べてハードルが高くなります。

 

後遺障害等級12級13号はむちうちの後遺症として残った神経症状が頑固な場合に認定されるものです。もっとも「頑固な神経症状」的な水準が明確ではないので、あくまでも実務的には様々な点が考慮されて認定されます。

 

4.-(1)  画像上でむちうちの原因が確認できる

 

後遺障害等級14級9号は、むちうちの原因がMRIやレントゲン検査で確認できない場合でも認定される可能性があります。

これに対し、より重い後遺障害等級12級13号の場合は、むちうちの後遺症が単に自覚症状であるだけでなく患者以外の人が客観的にとらえられる必要があります。

 

12級13号の認定にはCTやMRIの画像診断といった画像所見(基本的にはヘルニア等で脊髄・神経が圧迫されていると確認できるなど)が必要です。さらに、それらの画像をもとに、医師による神経症状が発生している原因の考察が可能かどうかもポイントとなります。

 

また、検査結果が自覚症状に一致しているかどうかも、後遺障害等級認定において重要視されるようです。そして、自覚症状に適合する治療が行われていたり、症状の経緯があったりする場合に後遺障害等級12級13号として認定されます。つまり、むちうちの自覚症状があり、この原因が画像所見に基づいて医学的見解から説明できることがポイントになります。

 

4.-(2)  頚椎捻挫や腰椎捻挫の場合

 

頚椎捻挫や腰椎捻挫で後遺障害等級12級13号の頑固な神経症状に該当するためには、理学診断によって症状を判断します。

 

理学診断には以下のようなものがあります。

  • 神経根症状誘発テスト
  • 徒手筋力検査
  • 筋萎縮検査
  • けん反射テスト

 

「神経根症状誘発テスト」によって痛みやしびれが生じるかをチェックします。頭を傾け、手で頭を押すなどをしてしびれや痛みが発生するかどうかを調べる検査です。

「徒手筋力検査」は、筋肉の強さを評価し、障害が出た神経が支配している領域の筋肉がどれだけ低下したかをチェックする検査です。

「筋萎縮検査」は、痛みやしびれによって使わなくなり、やせ細った筋肉の萎縮を確認します。

「けん反射テスト」では、けんに刺激を与えて筋収縮をチェックする検査です。

 

後遺障害等級12級13号に認定されるハードルは高くはありますが、上記の検査結果によってはむちうちでも認定される可能性があります。

 

5.     後遺障害等級12級13号と後遺障害等級14級9号の損害賠償額の違い

 

交通事故で後遺障害等級が認定された場合には、等級に応じて後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益が受け取れます。しかしながら、12級13号に認定された場合と14級9号に認定された場合では、受け取れる損害賠償額が異なるのです。

 

(後遺障害等級14級9号と12級13号の違い)

後遺障害等級14級9号 後遺障害等級12級13号
慰謝料 110万円 290万円
逸失利益

(年収500万円の場合)

労働能力喪失5%×5年

約108万円

労働能力喪失14%×10年

約540万円

合計 約218万円 約830万円

 

後遺障害等級14級9号に認定された場合は、後遺障害慰謝料は弁護士基準(裁判基準)では110万円です。また、後遺障害によって将来的に収入に影響が及ぶ期間(労働能力喪失期間)は5年程度であり(一般的には67歳まで労働能力喪失期間とされますが、後遺障害等級14級9号に該当するむちうちの場合は5年程度とされることが多いです。)、5%程度の労働能力が喪失したとされます。この労働喪失期間をもとに後遺障害逸失利益求められます。

 

一方で、12級13号に認定されると後遺障害慰謝料は弁護士基準(裁判基準)では290万円が受け取れますので、可能であれば12級13号の認定を目指しましょう。

また、労働喪失期間も10年となり、14%程度の労働能力が喪失したとされます。

 

このように交通事故の被害によってむちうちの後遺症が残ったとき、後遺障害等級が認定されるか、どの後遺障害等級になるかによって大きく損害賠償額が異なります。

しかしながら、交通事故に遭い、後遺症が残っているからといって、誰でも後遺障害慰謝料が受け取れるわけではありません。

後遺障害等級に認定されるためには、非常にたくさんの書類を必要とし、専門的な知識も求められるのです。

 

もし、後遺障害に認定されなかった場合には、痛みを客観的に訴えて保険会社に直接交渉を行う方法もあります。ただ、保険会社も交渉のプロですので、うまく言いくるめられてしまうこともあるでしょう。

そうならないためにも、専門家に依頼し、後遺障害に認定できるように努めることが大切です。専門家に任せることで賠償金を多く受け取れるケースもあります。また、煩わしい交渉も任せられますので、心強い味方になってくれるといえるでしょう。

 

6.     まとめ:むちうちでも後遺障害等級を諦めない

 

交通事故被害に遭ったことで神経症状などが残った場合には、後遺障害等級に認定される可能性があります。むちうちで神経症状の後遺症が残った時は後遺障害等級14級9号や後遺障害等級12級13号に認定されると損害賠償額がアップします。

 

むちうちの場合には後遺障害等級14級9号に認定されることが多いですが、後遺障害等級12級13号に認定されることもあります。他方で後遺障害等級に非該当とされる場合は大きく損をしてしまいます。

 

確実に後遺障害等級が認定されることを目指して専門家の力を借りるのがいいでしょう。泣き寝入りになってしまわないためにも、専門家に相談するのが安心です。

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