交通事故が起きると、ほとんどのケースで「示談交渉」が行われます。交通事故の被害者としては一刻も早く示談を成立させ、損害賠償金を支払ってもらいたいところでしょう。
ところが、当事者間の交渉がなかなか進まず、示談成立までの期間が長引いてしまうことも珍しくありません。
保険会社は可能であれば交通事故の被害者に支払う金額を抑えようと考えます。これに対し、納得できる正当な金額を請求する交通事故の被害者との間で話がこじれるのです。
今回は、示談交渉が長引く理由をはじめ、期間を短縮させる方法はあるのかなど気になるポイントを解説していきます。
1. 交通事故示談が成立するまでの流れ
交通事故が起きると、加害者(実務上は加害者が加入する任意保険会社)と被害者の間で損害賠償についての話し合いが行われます。これが示談交渉というもので、双方の過失割合などを検討したうえで加害者側の損害賠償金額が決められます。
どのような流れで示談が進められるのかを知っておくと、示談成立までの期間を大まかに予測できるでしょう。細かい点はそれぞれのケースで異なりますが、一般的な流れを紹介します。
まず、交通事故が起きると事故の原因や状況、加害者の身元確認などを行います。きちんと示談交渉を進めて損害賠償金を支払ってもらうためにも、身元確認は最初に行っておくことが大切です。
その後、警察へ通報して事情聴取などを受け、実況見分調書を作成してもらいます。同時に、自身が加入している任意自動車保険会社へ連絡し、交通事故に巻き込まれた旨を伝えます。
このとき、必ず加害者にも保険会社へ連絡させるようにしましょう。
もし、交通事故によってケガを負っていれば、病院で治療を始めます。ケガの程度や治療の進み具合によって損害賠償金が大きく変わることもあるので、ケガがあれば放置せず必ず治療を受けましょう。
損害賠償金額は、治療の完了や後遺障害等級の認定により確定します。その後、損害賠償金額などをもとに本格的な示談交渉が始まり、加害者と被害者双方が合意すれば示談成立です。
合意にいたらなければ、交渉を続けたり法的機関などに訴えたりするため、場合によっては何年も示談が進まないという事態もありえます。
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2. 示談交渉が長引く理由①:加害者に問題がある
車を運転するドライバーは、万一の事故に備えて任意の自動車保険に加入している人がほとんどです。ところが、中には自賠責保険にしか加入していなかったり、まったくの無保険状態だったりする悪質なドライバーもいます。
運悪くこのように悪質なドライバーによる交通事故の被害を受けた場合、間に入ってくれる保険会社の担当者がいないので、被害者は加害者と直接示談交渉をしなければなりません。これが、示談交渉が長引く理由のひとつになっています。
交通事故の当事者同士が直接示談交渉を行うと、加害者が損害賠償金の支払いを逃れようとして交渉に応じないケースも珍しくありません。被害者からの連絡に出なかったり、「自分に非はない」と過失割合を認めなかったりするのです。
そもそも、自賠責保険や任意の自動車保険に加入していない人は、保険料を支払う経済的な余裕がないことも多いです。このため、いかに損害賠償金の支払い義務が生じても、実際に支払おうとしないこともあります。
また、任意の自動車保険に加入していたとしても、等級が変わって保険料が上がることを嫌がり、保険会社に連絡してくれないケースもあるのです。
このように、示談をうやむやに済ませようとしていたり、損害賠償金を支払えなかったりするなど、問題がある加害者にあたってしまうと示談成立までの期間も長引くことになります。
交通事故は、実際に起きてみないと加害者がどんな人かわかりません。不幸にも問題のある加害者だった場合、示談交渉が長引くことを覚悟したほうがよいでしょう。
ただし、被害者が泣き寝入りする必要はありません。加害者が示談交渉に非協力的な場合は、弁護士などに相談のうえ適切な対処をしていきましょう。
3. 示談交渉が長引く理由②:保険会社が損害賠償金を減らそうとする
加害者が任意の自動車保険に加入していると、示談交渉は保険会社の担当者と行うのが一般的です。
ほとんどのドライバーが何らかの自動車保険に加入しているため、実際には保険会社と示談交渉を進めるケースが多いでしょう。
3.-(1) 保険会社の考え方
きちんとした保険会社が相手なら、示談交渉が長引くといったトラブルにはなりにくいイメージがありますが、実はそうとは限りません。
保険会社にとって、加害者の代わりに支払う損害賠償金は経営上の損失になります。会社として、損失はできる限り避けなければなりません。
つまり、保険会社は少しでも損失を抑えようとして、被害者に対して少ない損害賠償金額を提示してくるのです。
3.-(2) 任意保険基準で示談交渉が行われる
実は、損害賠償金額を算定する場合、3つの基準が用いられます。
- 自賠責保険基準
- 任意保険基準
- 弁護士基準(裁判基準)
交通事故の被害者が得る損害賠償金額は以下の通りです。
自賠責保険基準<任意保険基準<<<弁護士基準(裁判基準)
自賠責保険基準で算定した場合、必要最低限の損害賠償金額が提示されます。任意保険基準では、保険会社ごとの算定基準による独自の損害賠償金額となります。
弁護士基準(裁判基準)は、示談交渉で合意できず裁判になった場合、弁護士が適切な損害賠償金額を算定する基準のことです。内容からもわかるように、自賠責保険基準<任意保険基準<弁護士基準(裁判基準)の順番で損害賠償額は高額になります。
保険会社が最初に提示してくる損害賠償金額は、自賠責保険基準によって算定されたものとほとんど同じというケースが多いです。任意保険基準と言っても自賠責保険基準に毛が生えたようなものです。
必要最低限の金額で、交通事故の内容によっては不当に低い金額になっていることも珍しくありません。
被害者としては、損害を被ったうえに低い損害賠償金を提示されて、素直に受け入れられる人は少ないでしょう。被害者と保険会社の間で損害賠償金額に関する押し問答が続き、示談交渉が長引く理由となってしまうのです。
3.-(3) 過失割合を巡る示談交渉
また、交通事故の過失割合を決めるときにも保険会社とトラブルになることがあります。被害者側の過失割合が大きくなれば、それだけ加害者が支払うべき損害賠償金は少なくなります。
このため、「あなたにも非がありますよね」など、被害者の過失を強く主張してくる保険会社も多いのです。損害賠償金額と同様に、過失割合の決定でももめて時間がかかり、示談成立までの期間が長くなってしまいます。
4. 交通事故の被害者が示談交渉を短縮する方法
交通事故に巻き込まれると、その後の示談交渉も含めて肉体的にも精神的にも大きなダメージを受けることもあります。心身のストレスから、一日でも早く解放されたいと思う人も多いでしょう。
実は、長引くことの多い示談交渉の期間を短縮する方法もあるのです。それは、交通事故に強い弁護士に示談交渉の代行を依頼するということ。
被害者の代わりに法律の専門家である弁護士が窓口となり、保険会社や加害者と交渉するのです。
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4.-(1) 弁護士基準での示談交渉
保険会社は、弁護士が出てくることを非常に嫌がります。なぜなら、交通事故に関して豊富な知識を持つ弁護士が相手だと、被害者に提示したような不当に低い損害賠償金が通用しないからです。
もし弁護士相手の示談交渉が決裂をすれば裁判を起こされてしまいます。弁護士が示談交渉で使う弁護士基準(裁判基準)はその名の通り、裁判で認められる基準です。
裁判を起こされると対応の手間がかかる上に、弁護士基準(裁判基準)で結局は損害賠償額が認定されてしまうのです。
4.-(2) 保険会社側が示談交渉で早期解決を図ろうとする
示談交渉がこじれて裁判を起こされれば、最終的には弁護士基準によって算定された高額な損害賠償金を支払わなければなりません。それは保険会社として避けたい事態なので、多少損をしてでも早期解決を図ろうとするケースが多いのです。
弁護士が出てくると提示される損害賠償金額がアップしたり、過失割合についても被害者の言い分が通ったりする可能性が高まります。その結果、スムーズに示談交渉が進み、成立までの期間が短縮されるのです。
交通事故の被害者が弁護士基準(裁判基準)を主張しても、弁護士が出てくるまでは裁判を起こされないと考えてあしらう保険会社もあるようです。
被害者本人がいくら示談交渉を行ってもなかなか前に進まないときは、早めに弁護士に依頼したほうがスムーズに解決できるでしょう。
非協力的な加害者に対して、内容証明郵便を送ったり裁判を起こしたり、弁護士ならではの手法で法的に対応を迫ることもできます。示談交渉を短縮したいなら、まずは弁護士に相談してみると良いでしょう。
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5. まとめ:交通事故の示談交渉で泣き寝入りする必要はない!
なかなか示談交渉が進まないと、諦めの気持ちになってしまう被害者も多いでしょう。しかし、保険会社のいいなりになったり泣き寝入りしたりして、被害者が損をする必要はありません。
交通事故解決のプロである弁護士に示談交渉を任せると、意外とあっさり示談が成立するケースもあるのです。
正当な損害賠償金を受け取り、一日も早く元の生活に戻るためにも、示談交渉が長引く理由を知って適切に対処していきましょう。